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『ずるい仕事術』サラリーマンがラジオパーソナリティになる方法

 

Cheatworking 20241106

 

ラジオ番組「オールナイトニッポンゼロ」のパーソナリティを務める

人気テレビプロデューサー佐久間宣行。

普通のサラリーマンが、いかにしてラジオ番組を担当するようになったのか、

その仕事の向き合い方が、詰まった一冊。

  

目次

 

①仕事術編

 

■「楽しそう」を最強のアピールにする

→楽しそうに仕事をすることは「この仕事がやりたかった」という

まわりへのアピールになる上

チャンスをくれた上司に対して「この仕事をさせてくれてありがとう」という

感謝を伝える意思表示になる

 

■「雑務」こそチャンスに変える

→だれにでもできる仕事を「自分にしかできない仕事」にして

いかに信用を貯めてチャンスに変えるか。「よくある雑務」を「自分の仕事」にできるのか

その問いが、仕事を面白くする。

 

■「まだ早い」をあざとく使え

経験が足りないことは、裏を返せば「なにかと許される特権になる

ダメ元で無謀なオファーや挙手をして断られたとしても、そこには「相手の記憶に残る」

メリットが残る

 

■「チャンス」のためにはイヤでも謝る

いっときの感情に流されず、どうすれば仕事がやりやすくなるか、

チャンスを掴めるかをトータルで考える

 

■合理的最強ツール「ホウレンソウ」を使い倒せ

自分の状況を報告すれば上司に伝わり、無茶振りを防げる

上司も上司にその報告ができる。

組織の中でストレスなく仕事をするにはホウレンソウは欠かせない。

 

■相談のゴールは「解決」にする

■「すぐやる人」が結局残る

■会議は「事前準備」で勝て

■会議後の「5分」で差をつけろ

会議の要点と次の会議に達成すべきこと、次回までに自分がやっておくことを

振り返る。

 

■「他人の正否」を予想する

仮説を立てて実行、検証。ズレていたら修正。

ピッタリなら、成功の引き出しにストック。

この繰り返しで、人は仕事で成長できる

 

■「社内初」はローリスク・ハイリターン

失敗した前例があれば強く反対されるものも

だれも経験がないから意外と押し切れる。

過度な期待もかけられないし、失敗してもせいぜい「やっぱりね」と

笑われる程度。でも成功すれば一躍「第一人者」になれる

 

■「キャリア相談」は相手を選べ

一般論か、自分にあてた話かの視点を忘れない

キャリア選択に一般論を取り入れたら、みんなと同じキャリアしか築けない

 

■会社に「合わせすぎない」

「よし」とされるものはすごい速さで変わっていく

でも会社の軸はそうかんたんには変わらない。

違和感を持ちながらも「会社に評価されること」だけを仕事の軸にすると、

長期的判断を見誤ってしまうことがある。

 

■「らしくない仕事」をやってはいけない

「信用と期待を持たれている」ブランド人に多く声がかかる。

どれだけ仕事ができても、人間性に難があると、いざというとき人は離れる。

仕事と他人に誠実であることが、いちばんのブランドづくり。

 

著者の場合、だれかを脅したりせず、その人のやりたいことを叶えたり魅力を伝えたりと

ポジティブなものづくりに徹した結果

「人を踏み台にしない」という「ブランド(信用)」が得られた。

 

②人間関係編

 

■「メンツ地雷」を踏んではいけない

人はメンツで動いている。

メンツを立てることは、組織人として、社会人としての「戦略」

大切なのは相手に勝つことではなく障壁なく仕事ができる環境を手に入れること

 

■コミュニケーションは「最短距離」より「平らな道」

正論をまっすぐ吐くと、たいていは嫌われる。

自分を捨て切れない状態で「俺」を打ち出して戦うとロクなことがない。

じゃあどうすればいいか。

そんなときは自分を下げる。

 

誰でも作れる番組より、僕しかできない番組を作ったほうが会社の利益になりませんか

僕はゴールデンの番組を作るのが苦手なんです。

全然企画を思いつきません。

だからそれは得意な方にやっていただいて、

僕は自分なりに精いっぱい、会社に貢献できる仕事をさせてもらいたいです。

 

意見を戦わせることなく「会社のため」と「自分の未熟さ」を伝えると

それだけで一本道が舗装される。

 

■「横柄な態度」はコストが高い

仕事は縁でできている。

「絶対アイツとは仕事したくない」と思われたら、おもしろい仕事に巻き込んでもらえない。

人は偉そうにするチャンスがあると偉そうにする生き物。

一瞬の虚栄心を満たすには失うものが多すぎる。

どんな人にも同じように接することが未来の自分を救ってくれる。

 

■「コント:嫌いな人」でバトルを避ける

苦手な人と話さなければならないとき、心の中でこう唱える。

 

「コント:嫌いな人」

「コント:自己中のクライアント」

「コント:メンツおじさん」

 

コールを入れるだけで、自分と相手を客観的に眺められるし、

「相変わらず理不尽!後でどうやってネタにしよう」とおもしろがることができる・

 

自分の置かれている状況を俯瞰して見るクセをつけると、

カットしたり傷ついたりと、感情が乱れる回数は減っていく

 

■「合わない上司」は分析してみる

 

言っていることには一理あると思ったら「○」

聞き入れられないと思ったら「×」

これで上司の「なにが不快か」見えてくる。

 

仮に「○」ばかりであれば、「言っていることは間違っていないけど、

ねちっこい言い方や攻撃的な物言いがメンタルを削っている

 

これがわかれば「口調が厳しく、責められているように感じます。

そんなふうに言われたら萎縮するし、やる気が削られます」と

勇気をもって改善策を要求する。

 

仮に「○」ばかりで対処が見つからない時は

「○×表」を持って上司の上司に相談。

 

理不尽な上司がいるとき、

「部下である自分が我慢すべきだ」なんて思ってはいけない。

まず分析。

 

■「褒める」は最強のビジネススキル

褒めるというのは、相手の武器がわかること

 

武器が分かれば、どんな仕事を一緒にやりたいか、

この人はどんな場なら活躍できるか、

自然と理解できるようになる。

 

第三者に伝えるときもストロングポイントが整理されるし、

チームを組むときも「あの人ならこのスキル」とすぐに思い出せる。

 

相手を褒めるということは、コストがかからない最強のビジネススキル

 

■「陰口」はコスパが悪い

陰口が自分の耳に届いたとき、

それでも自分の意思を貫ける人だけが

やりたい仕事に取り組める

 

悪口なんて右から左へスルー。

 

いつも悪口を言う人だと認識されると

自分のブランドも汚れてしまう。

まわりは「いつ自分の悪口を言われるかわからない」

と警戒するし、「ネガティブな評判を立てて人の足を引っ張る人」と

思われれば信頼も失う。

 

いざ自分が本気で何かを訴え出たとき、

説得力が下がるというリスクも大きい。

 

普段から悪口を控えていると、「あまり人を悪く言わないあいつが

そこまで言うなら信じたほうがよさそうだ」と真剣に取り合ってもらえる。

 

■会社に「友だち」はいらない

優先すべきは「仲良くなること」じゃなく

「いい仕事をすること」

 

会社のそとに損得感情抜きで付き合える人間関係を持っておくと

ビジネスパーソンの心のセーフティネットになる。

 

仕事場はあくまで仕事場。

 

■「付き合いの悪いヤツ」でいい

自分のプレゼンスや価値を高め、時間を優先するために、

周りと一定の距離を保つこと。

 

仕事さえ誠実にこなしていれば、

人間関係で勝負する必要はない。

 

③チーム編

■自分の「キャラ」を理解する

チームで活躍するには、自分のキャラクターやスキルをできるだけ

客観的に、正しくメンバーに理解してもらう必要がある

 

自分の得意を知ってもらえば、まわりはあなたに合った仕事を振りやすくなる

 

「そんなに努力していないのに、やたら褒められる(感謝される、驚かれる)」

こんなところに、あなたの才能が隠れている。

少ない努力で結果を出せる武器があれば、最悪ここで食っていけるという

心の支えになる

 

■「ちょっと無理」する

チャレンジは、すればするほど自分とその仕事との相性がわかってくる。

今できることから背伸びをして難しめの仕事を繰り返すことで

新たな強みや新たなスペックを手に入れよう。

 

■「お前ならできる」をうのみにする

若いうちから自分の適性を把握するのはむずかしい。

その道で経験を積んできた大人の「お前ならできるよ」の声を羅針盤にする。

たくさんの経験に裏打ちされた言葉だから

くじけそうな自分の心を支えてくれる

 

■ビビらず「アピれ」

チャンスは天から降っては来ないし、

「実はこういう仕事がしたいんじゃないか」

と察してくれる上司もいない。

「仕事の場」で「自分ができること」「やりたいこと」のアピールし

覚えてもらうまで、言葉と行動でしつこくしつこく伝えよう。

チャンスを回してもらえる可能性はぐっと高まる。

 

■「期待」しすぎてはいけない

思い入れが強いチームや期待が大きい仕事についたときほど

心を崩す人がいる。

 

「働きに」ではなく「夢を叶えに」会社に行くと、

ギャップに苦しむことがある。

 

自分の夢を分解し、「具体的な目標」に置き換える。

現実を冷静に見つめ淡々と働く。

それも夢を叶える一歩となる。

 

■「イラついている実力者」と組め

チーム編成では、

自分ができないことができる人と組むこと。

 

自分の器と今の立場が合っていなくてイライラしている

まだ世間に認められず、鬱屈した思いを抱いている人をチームに迎えて

まず打席に立ってもらう。

 

チーム全員で「その人にどんな場を提供したら

もっと活躍してもらえるか」「どうすればもっとおもしろくなってもらえるか」

を考える。

 

その人の才能の核やおもしろさが伝わるように編集してオンエアする

すると本人もまわりも「こんなふうにしたら笑いが取れるのか!」と理解する。

 

チームはこうやって、互いに協力し、成長しながら

絆を深めるもの

 

■「価値観の違うメンバー」で保険をかけろ

プロジェクトのコンセプトや企画の核をつくると気は感覚が近い人と組み、

実行するときは自分と真逆のタイプの人を入れる。

 

同じような感覚の人ばかり集めていると

突き抜けすぎてプロジェクトが現実のものになろうとするとき事故が起こりやすくなる。

慎重すぎるくらい慎重で常識のあるスタッフが一人いると、

ちゃんと事前に引き留めてくれる

 

■ときには「自分でやったほうがいい病」になる

仕事は一つのチームだけで完結することはない。

しかし「餅は餅屋」とばかりに丸投げしていると

ひょんなことでプロジェクト自体の価値が損なわれてしまうことがある。

 

プロジェクトに関してもっとも知識と情報があるのが自分だったり

「フルスイングして、当てたい」なら

チームから越境して「面倒くさいやつ」になってでもコミットする

 

面白さのキモやファンの気持ち、

番組に流れる文脈。角から隅まで理解した人間が作るからこそ、

核心を突いたコンテンツを生み出せるから。

 

相手のメンツを立てるのは忘れずに。

 

■「リスク管理」をする

チームに属せば、理不尽な目に遭うことがある。

「パッとしないプロジェクトに巻き込まれ、失敗したら責任を押しつけられる」など。

「責任の所在はどこにあるか」を確認し

だれのどういう判断で実行するのかを明らかにし、

それをまわりにも周知する。

自分が発起人でないなら、そのことを明らかにすることで

自分の身を守る。

 

④マネジメント編

 

■「リーダー」はだれより本気で働け

「みんなのモチベーションを上げる方法」は、

リーダーがだれより本気で楽しそうに働くこと。

 

リーダーが仕事に対してだれより本気で向き合っていれば、

おのずとチームの「レベル」も上がる。

 

■「身内」にこそ気を遣う

メンバーに「自分は大事にされている」と感じさせるのも、

リーダーの大事な仕事。

 

人は、「自分がいなきゃ」という存在価値を感じてことパワーを出す。

チームのパフォーマンスは、ポジティブなフィードバックにかかっている。

 

■「会議」ではプライドを利用する

「発言したら採用される」空気感をつくらないといけない。

 

アイデアはどんなものでも最初は未熟。

切り口として採用し、議論を燃やす薪にする。

 

芯を食ってない意見でも、次のアイデアの呼び水として活用する。

 

自分の意見そのものが採用されなくても、

チーム全体のアイデアにつながったり、

会議の場に寄与すると信じられれば、活発に意見を出してくれる。

本気で楽しんで、会議に臨んでくれるようになる。

 

もしメンバーが新しいアイデアを出してこなくなったなと思ったら、

それはリーダーの進行、ファシリテーションに問題がある可能性が高い。

 

■「叱り方」にはコツがある

「シラフで話す」

注意は冷静に、感情ではなく論理で。

「個別に話す」

相手の立場やプライドを守るやりとりを心がけ、

明らかな非があっても、ちゃんと逃げ場を用意すること

 

■空回りしたら「説明不足」「負担超過」を疑え

自分だけがやる気満々でまわりが冷めているとき

自分のやる気が空回っているとき

 

メンバーが、

そのプロジェクトの意義や意味を理解していない可能性、

負担超過している可能性

を考える。

 

■「問題児」には先手を打つ

「こういうことをしたら、ダサいですよね」

「キレる人はキャパシティが狭い。仕事ができないこととイコールだ」

などで先手打って言葉で封じる。

「嫌なヤツ」の話をねつ造する。

架空の悪役やエピソードでっち上げて

「われわれのチームにはそういう人はいないですよね」と事前の圧をかける。

 

たった一人の問題児が、全体の空気を悪くすることもある。

ちょっとしたねつ造で、

平和なチームができるんだったら多少のウソもかまわない。

架空の悪者、架空の悪い話であれば、本物の陰口出ないから

だれかを傷つけることがないのもいい。

 

■人を責めずに「仕組み」を変える

トラブル発生時、犯人を明らかにすることよりも

トラブルに至った「仕組み」を特定し、それを解決すること。

個人的なミスの裏には、必ず「仕組み」の問題が隠されている。

仕組みに不備があったり、風通しが悪かったりするチームでは

いいアウトプットは期待できない。

一つずつバグを直して「いい仕組み」につくり変える。

 

■部下の仕事は「引き取らない」

頭を使い、手を動かし、完成させる。

自分のアウトプットの最終責任は自分が引き受ける。

その覚悟を持たないと経験は血肉にならないし、「個」としてのスキルも

身につかない。

 

上司は、部下のことを思うならかんたんに仕事を引き取ってはいけない。

正解の方向性だけはみせて、そこからのディテールは本人に任せる。

 

面倒だし手間のかかる作業になるが

これを繰り返す中で、部下の成長に気づくことができるし

いつか部下からも「面倒くさかったけど、あのやり方で育てられてよかったな」と

思ってもらえる。

 

⑤企画術編

 

■企画書は「ラブレター」

企画書は「出すもの」ではなく「通すもの」

企画を通したいと思うなら、

組織の「中の人」を説得するだけの材料を集め、

ロジックを組み立て

自分の「おもしろい」に説得力を持たせること

 

■佐久間流発想術①「反転法」

感情の反転・・・違和感や感情を企画に活かす発想法

「ワイドショーは専門家じゃない人が、不確かなことをエラそうに喋っている」

「専門家は確かな情報を話すけど、受け手が天然だからめちゃくちゃ笑える番組」

 

「当たり前」からの反転・・・

いまある「当たり前」や「常識」をひっくり返すことで新しい企画にする方法

 

演者が事前にアンケートを書き、それをもとにつくられた台本で番組を進行する

ゲストに事前のアンケートを取らず、本音やリアルな感情を、台本なしのトークで届ける

 

「新しさ」は、少しひねくれた性格や視点から生まれることがある

 

■佐久間流発想術②「掛け合わせ法」

まだ世にないであろう「設定」から、新しい企画に育てていく。

例)

「不倫ドラマ」を作ることになったら、ドラマのジャンルを書き出していく

「逃避行」
「サスペンス」
「純愛」
「仕事モノ」
「コメディ」
「デスゲーム」

出尽くしたらすでに存在するものに「×」をつけ、残ったワードを掛け合わせ

おもしろそうなものを企画に育てていく。

 

■企画には「自分だけの『原液』」を混ぜる

企画に必要なのは、マーケティングではなく「自分の感覚」

自分の感覚を信じずマーケットばかり見ていると、

最後の最後に、手を抜いてしまったり

世に出すとき恥ずかしくなって下を向いたりしてしまう。

たとえ上から振ってきた企画でも

一滴でもいいから「これは俺の仕事だぜ」と思える自分の「原液」を

混ぜておこう

 

■「おもしろさの核」を相手に伝える

いい企画が浮かんだとき、その「おもしろさ」を

「相手に伝わるかたち」でアウトプットする必要がある。

日頃から「おもしろい」の因数分解ができると、

企画の伝え方が変わってくる。

なぜおもしろいのか。

どの部分は譲れないのでか。

おもしろさの核をまわりと共有し、

そこさえズレないように気を付ければ、

自分が想像した「おもしろい」が立ち現れる。

 

■企画こそ「仕組み」でつくれ

企画づくりを仕組み化すると、アイデア出しがモチベーションに左右されにくくなる。

例)

日々、頭に浮かんだアイデアや「こんなことがおもしろい」といった思いつきを

どんなに小さなものでも、全てメモする習慣をつける。

そのメモを3日に一度のペースで見直し、

ふるいにかけ、残ったなかから三〜四つのかんたんな「企画」をノートに書く。

2週に一回のペースで整理する。

「これはおもしろいんじゃないか」と思えるものは

月1回、会社に提出できるような企画書に練り上げて

一軍企画としてパソコンのフォルダに入れておく

会社で企画募集があった時は、そのフォルダをチェックして

戦えそうな兵隊を出す。

このルーティンをGoogleカレンダーに「繰り返し」で設定。

未来の自分に、強制的にその仕事を「させる」

 

■「自分のキャラ」を利用しろ

企画は「自分の属性」をフリ(起点)に考え、

プレゼンもそこをしっかり強調する

例)入社3年目なら、まず「20代半ば」という属性がフリになる。

プレゼンも、「僕らの世代はこういう空気感で、

こういう情報に触れている。社会の時流はこうで、僕らはこういうものを求めている。

だから(おじさんにはつくれない)この企画を提案します。」と言えば、

説得力のある企画になる。

 

自分が「社内でどういうキャラとして見られているか」も大事なフリ。

組織で企画を通すためには、自分をどう演出するかの視点も欠かせない。

 

■「ラブレター」を渡すには?

伝えるべきは、「なぜ、あなたなのか」

この企画はなぜ、あなたでなければ成立しないのか

なぜ、あなたにピッタリなのか

あなたが参加してくれることで、企画がどれだけ魅力的になるのか

「なぜ自分なんだろう」の部分で納得してもらわなければ、

企画書は読んでもらえない。

 

また色よい返事をもらえるかどうかは、

「だれよりも自分(企画者)がこの企画をおもしろいと思っている」ということが

伝わるかどうかにもかかっている

 

■「稼がなくていい企画」なんてない

立てた企画を続けるためには、会社が好きな

「儲かる匂い」と「成長の匂い」を漂わせ続ける必要がある。

会社に貢献し、それをアピールして、ようやくやりたいことを「続ける」ことが

できる

 

■「いい失敗」をする

「悪い失敗」は、仮説がない挑戦の結果、もたらされたもの

「いい失敗」は、仮説を踏まえた挑戦の先にあるもの。

ギャンブルではなく、仮説を積み上げ、

狙って挑んだ企画であれば、失敗しても意味のある失敗になる。

僕たちが学べるのはこの「いい失敗」だ。

 

いい失敗の「質」を極限まで上げるために考えたいのが、

どれだけ「正しい勝負」ができていたか。

 

「なんとなく」ではなく、状況やデータから結果を予測していたか。

ここまで考え尽くしたのなら失敗しても仕方ないと思えるまで考えたか。

 

失敗しても、仮説のどこが間違っていたのか、

正しいと思った計算式のどこがズレていたかを検証できる。

 

■ダラダラ「負け続けない」

失敗を恐れすぎていけないが、

失敗に鈍感になるのは企画者として致命的。

 

薄くダラダラ失敗を続ける人は、「損切り」ができない人。

いつか逆転ホームランを打てるんじゃないかと期待しつつ、

自発的に努力することもなく、

ただ「待つ」という選択をしてしまう。

 

そうならないために必要なのが「期間」と「目標値(KPI)」の初期設定。

たとえば3カ月なり半年なり、「この期間にこの結果を出す」と決めるといい。

未達の場合は、潔く企画を撤退させる「損切りマインド」も大事になる。

 

■「インプット」し続ける

10年後に過去の残りカスにすがった、

すっからかんの大人になりたくなければ、

サボらずインプットを続けよう。

 

インプットはアウトプットの源で

企画は引き出しの数がモノを言う。

 

10年後の自分をクリエイターたらしめるのは、

今日のインプット。

 

蓄積の差は、必ずいつか現れる。

1日1週間1カ月をどんなふうに使っていくか。

 

なにを観て、

なにを体験するか。

 

10年後の自分が後悔しないか、

時間の使い方を見直そう。

 

■苦しいこともいつか必ず企画になる

人生の全てが企画につながる。

日々揺れ動く感情も

本や映画に触れることも、大きなライフイベントも

大変なことも、泣きたいくらい苦しいことですら、

企画に昇華させられる。

 

「せっかくだから糧にしたい」と考えると

自分にしか見えない景色が広がってゆく。

 

⑥メンタル編

 

■「メンタル」第一、「仕事」は第二

心を壊してまでやるべき仕事なんてどこにもない

 

「なにが続くと自分の心は折れるのか」を把握し

「これくらい我慢しなきゃ」

「ここは無理をしてでも」

「休んだらみんなに迷惑が」と

自分と仕事の優先順位を決して逆転させないこと。

 

「たかが仕事」の割り切りが必要。

 

■給料分働けば十分「プロ」

給料分の価値を出したら「プロフェッショナル会社員」

 

仕事に対してハングリーじゃなくても

決して劣っているわけじゃない。

 

仕事に熱狂すること。

仕事に全てを懸けること。

それは絶対的な正義ではなく、性質や好みの問題。

やるべきことをやり給料分働けば

それで十分プロ。

■期限を区切れば「無敵」になれる

会社を辞めるかどうか悩んだら

期限を決めてゴールを設定し、そこまでは全力で努力してみる

 

ゴールを決めたら自己分析。

いまの自分はなにができ、なにができないのか

能力やスキルを書き出してみる。

 

努力すると決めたら、

その期間は仕事一本、全力投球する。

 

「これだけやってダメだったら仕方ない」と思えるくらい全振りする。

やり切ってから進退を判断しないと、逃げた気持ちや後ろめたさが自分に残る。

 

「たいしたスキルも経験もないけど別の場所に身を置きたい」というのと

「こんなスキルや経験を持っているから次に駒を進めたい」では評価が違う。

 

「ダメだったらどうせ辞めるし」の気持ちで、人間関係のしがらみや

ノイズに惑わされず、走り抜けよう。

 

期限を区切れば、腹もくくれる。

逃げるヒマも、言い訳するヒマも、腐るヒマもない。

 

「仕事がつまらない」と絶望する前に、やれることは全然ある。

 

■悩みは「因数分解」で考える

会社を辞めた方がいいのだろうか、続けられるのだろうか。

そんなふうに思った場合、

「組織」の問題と、「自分の能力(スペック)」の問題に分解する。

 

組織・・・「前例がない」「上が詰まっている」など、自分にお鉢が回ってくるかが

わからない問題。

能力・・・単純に自分自身にその仕事をやりきるだけのスキルや才能、器があるかどうか

という問題。

 

いま自分の前に立ちはだかっている壁は、いったいどちらか両方か。

その見極めができてこそ、その努力が実を結ぶ。

■会社ではときに「エゴ」を貫け

働くうえでの正当な「不快」や「不満」に気づいたら

エゴイストになって片っ端から潰す勇気を持ってみよう。

 

自分が不満に感じるルールや慣習は、他の誰かも同じように

不満を感じている可能性が高い。

 

だれがみても正当な問題点は、まずは「自分のため」に変えてみる。

はじまりはあくまで利己的なわがままがいい。

「自分のために」はシンプルだし、誰にも邪魔されずに初志貫徹できる。

 

■「運」を味方につける

究極的に仕事はすべて、運で決まる。

運とは、信用の積み重ね。

 

運は愛想と誠実さによって架けられた「信用」という名の橋を渡ってやってくる。

だから愛想の悪い人は信用を得られないし、

運も来ない。

 

自分の機嫌は自分でとる。

雑な仕事をしないことも運につながる。

 

運が通るための「信用の橋」をコツコツと架けておけば、

忘れたころに、「こんなところからやってきたのか!」とおどろくような

運の来訪がある。

 

■無気力な時は「再生産」を疑え

刺激がなく、成長機会を奪う「再生産」の仕事ばかりする人は、

「自分じゃなくてもいいのでは」という無気力状態の沼にはまる。

 

そんな時は3から5年後に向けた中期目標を掲げる。

その目標達成のために、目の前の仕事に必要な要素を足していくイメージ。

 

いまできる仕事に、いまはできない仕事を掛け合わせ、次への足がかりを作る。

 

同じ仕事の質や精度をひたすら上げることで食っていけるのは職人だけ。

成長や変化をしていかないと、無気力状態の沼にはまり、

その部署、その会社がないと生きられない人間になってしまう。

 

■「省エネモード」があっていい

最大限のトライはしても、その仕事にまったく興味が持てない。

望んでない長期プロジェクトに無理やりアサインされた。

そんな時は、会社やチームのマイナスの存在にならないよう、

きちんと義務は果たしつつ、できるかぎり省エネで働く。

給料分はきちんと働き、会社に返す。

でも裏では淡々と爪を研いでチャンスを待つ。

 

あるいは与えられた業務の中で、やりたいことや興味のあることに近い仕事を

頭をひねってつくり出し、スキルを磨き

経験を積んで、次のステップの糧にする。

 

■「奇跡」を信じる

「仕事が退屈」

「つまらない」

そんな時は自分が行動することでしか解決できない。

 

退屈なんて時間が経っても消えることはないし、

なにもしなければ深まるだけ。

もしモヤモヤした「飽き」を放置しているなら、

「自分が変化を起こせること」を信じていないから。

ものすごいラッキーが起きたり、

一夜にして状況が変わること。そんな奇跡は案外、起きる。

 

変化とは「起きる」ものではなく「起こす」もの。

小さな一歩でもかまわない。

まずは前に踏み出せば、奇跡が待っていることがある。

 

感想

 

本書はテレビプロデューサー視点の仕事に対する考え方で

一般的な仕事術のそれとは一線を画す内容で興味深く読んだ。

 

企画に重きを置く部分もあるが、

テレビ局以外の仕事に対しても転用できるものばかりであると

感じる。

 

だれとも揉めないし、一切戦わないけど、周りの人は佐久間のアイデアのために怒られたり謝ったりしてる。つくりたいものだけ邁進して、どうでもいいことは見ない力が相当強い

 

普段は抜けているように見えて、実はきっちり仕事をこなすところ

 

本書にて著者の周囲の人間が、ずるい理由を上記の通り語っている。

 

なるほど、

テレビというマッチョな業界で酸いも甘いも経験し

メンタルも崩しながらも

自分がやりたいことを実現するにはどうするかを考え

たどり着いた境地であると

読み終えて実感できる。

 

「楽しい雰囲気でもっと笑えるもの作ってやる」

このスタンスが強いことが特に印象深く

共感できる部分でもあった。

 

ラジオを聞いていてもその人柄が伝わってくるし、

 

「信用」って言葉はこういう人にもたらされて

また仕事がしたいと思う人間がたくさん出てくるのは

当然だと、素直に納得できる。

 

真似をして、実践できなかったとしたら

人間性の違いと受け止めざるを得ない。

 

その点も「ずるい」って結論になるのか

と思ったりする。

 


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